廃用症候群の原因は安静にしすぎ?体を動かし予防しよう

介護の仕事

寝たきりの高齢者
「廃用症候群」とは、体を動かさない状態が続くうちに、動かそうとしても動けなくなってしまう状態のことで、「生活不活発病」とも言われます。筋肉が痩せ衰えてしまったり、関節の動きが悪くなる、便秘になる、精神的に落ち込んでしまうなど、心身ともにさまざまな症状が表れます。

高齢者の場合は病気やケガをきっかけに発症することが多く、注意が必要です。「病み上がりだから」「ムリをしてまた悪くなったら困る」とできることまで周囲がやってしまうと、またたく間に進行してしまうことがあります。

今回は廃用症候群の原因や症状、予防に役立つ知識をご紹介していきます。病気やケガに負けず、高齢になっても毎日をイキイキと過ごしてもらうために、ぜひ参考にしてみてくださいね。

廃用症候群の原因

冒頭でお伝えしたように、廃用症候群の原因は「体を動かさない状態が続く」こと。なぜそうなってしまうかは、人それぞれ様々な理由があります。

多いのは病気やケガがきっかけになり、治っても以前のようには活動しなくなってしまうパターン。脳卒中で麻痺が残って生活動作がやりにくくなったり、動かすと痛みがある、ケガが怖いといった理由から、積極的に体を動かさなくなってしまいます。

そのほかにも退職して年金生活になり日々の活動量が大幅に減ったり、災害や子供の同居のために引っ越しをし、友人と会いづらくなって外出や会話の頻度が減るといったことも原因になります。生活環境の変化に適応できず、「やることがない」という理由で体を動かさなくなることが多いようです。

そんな生活が少し続くと、久しぶりに少し体を動かすとすぐに疲れてしまい、「息が切れてしんどい」「体がつらい」と感じて体を動かすのをやめてしまいます。こうして「体を動かすのがつらい」→「体を動かさない」→「さらに体力が落ちてしまう」という悪循環に陥り進行してしまうのが、廃用症候群になるメカニズムです。

「寝かせきり」「座らせきり」も原因のひとつ

介助があれば起き上がることができる人をベッドに寝かせきりにしておくと、本当に寝たきりになってしまうというのは、介護業界では今や共通の認識になっています。これを防ぐには、まずは介助で体を起こし、座ってもらうことが有効です。座ることができるなら、車いすを使って移動することもでき、活動範囲がグッと広がります。

しかし車いすは便利なだけに、今度は「座らせきり」になることが問題になっています。本来は練習して道具を使えば自力で歩けるはずの人が、車いすで安全・便利に動けるからとこれに頼りっぱなしになることで、機能低下が進んで歩けない状態になってしまうのです。

車いすはとても便利なものですが、安易な使用は廃用症候群の原因になることがあると知り、本来歩ける人に使用しすぎていないか、本人の可能性を奪っていないかどうかは注意していきたいところです。

廃用症候群の主な症状

食事が進まない様子の高齢者
【主な症状】
・関節の動きが悪くなる(拘縮)
・筋力が衰えてしまう(筋萎縮)
・骨がもろくなる(骨萎縮)
・床ずれ(褥瘡(じょくそう))
・疲れやすい、すぐに息切れしてしまう
・食欲不振
・便秘
・立ちくらみ(起立性低血圧)
・静脈血栓症

関節や筋肉は使わないと、動きが悪くなったり痩せ衰えてしまいます。また運動しないと骨にも刺激が加えられず、もろくなります。もともと骨密度が低い高齢者の場合、オムツ替えや体位変換といった通常のケアでの骨折も珍しくありません。寝ていることや車いすに乗っていることが多いため、体重がかかる部分の血行が悪くなり、床ずれ(褥瘡)が起きやすいことも心配です。

それからもう少し身近なところでは、食欲不振、便秘といった消化器系の不調も症状のひとつ。体を動かさないことにより胃腸の働きも悪くなり、食欲が出ない、便が出ないといった悩みにつながります。消化器系の不調は、栄養の不足やメンタルの不調とも深い関係があるため、決して軽視できません。

起き上がったときに目の前が暗くなってしまうのは起立性低血圧。これは寝ていることが多いために、血圧の調節機能や心臓の働きが弱まることで起こります。心臓のポンプ機能が落ちているので、少しの運動でもドキドキと激しく拍動しなくてはなりません。また、長時間体を動かさないと、静脈の血液の流れが悪くなり、血栓ができやすいことも問題に。この血栓が血管を詰まらせると命の危険もあります。

廃用症候群にならないために

散歩をする高齢者
廃用症候群を引き起こす悪循環に入らないためには、本人のやりたいことを見つけ、日々の生活を充実させることが一番です。リハビリに通ってトレーニングに励むのももちろん有効なのですが、「週に数回のトレーニング以外は引きこもっている」といった例では、活動量の大きなアップは期待できません。

障害物のないトレーニング室をまっすぐ歩くだけの動作と、狭いところで方向転換してドアを開け閉めしたり、しゃがんで引き出しを開けモノを取り出して立ち上がるといった日常で必要となる動作とは、難易度も実用性も全く異なります。

重要なことは、朝起きてから寝るまでの生活全体で活動量を少しずつ増やすこと。今までやっていた習慣や家事など、できることは時間がかかっても本人にやってもらいましょう。心配だからと本人にできることまで周囲の人がやってしまうのは禁物です。

「趣味の会に出かける」「家族のために料理をつくる」など、本人がやってみたい目標や、楽しみながらできることが見つかればこっちのもの。毎朝起きて「今日の予定はコレ」「○日までにコレをする」といった具合に日々やることがある状態になれば、ムリなく自然に活動量は増えていきます。

手を出さないことも愛情のカタチ

利用者様を支える介護スタッフ
廃用症候群になる原因は難しいものではありません。予防するにはとにかく体を使えばいいのです。しかし、弱ってあちこちに痛みがある高齢者に向かって「寝てばかりいないで体を動かしなさい」と促すのは、実際ハードルが高いもの。

しかし「かわいそうだから」と何でもやってあげるのはかえって本人のためになりません。高齢者が一度弱ってしまうと、そこから立て直すのは大変です。できることは積極的にやっていくことで、心身の機能が衰えるのを防ぎ、状態を維持していくことがとても大切です。

弱音を吐かれるとつい手伝ってあげたくなってしまいますが、そんなときこそ「元気な笑顔を見せてほしい」という願いと愛情をこめ、「見守っているので、ご自身でやってみましょう」「どうすればできるか一緒に工夫してみましょう」と励まし、声かけしてみましょう。効果が実感できれば、本人もやる気が出てきます。続けるうちにいつのまにか悪い循環を抜け出し、いい循環に入っていることでしょう。

参考文献:「「動かない」と人は病む―生活不活発病とは何か」大川弥生著 株式会社講談社

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