高齢者の白内障、早期発見で重症化を防ぐには?

介護の仕事

高齢者の目元

白内障は、原因の90%が加齢によるもので、80歳以上ではほぼ100%という、だれもがかかる可能性のある病気です。リスクの少ない手術によって完治しますが、進行がゆるやかなため、本人は気づかないことが多く、ひとたび重症化すると失明の可能性もゼロではありません。
日常的に家族や周囲の人が高齢者の様子に気づくことで早期発見、早期治療ができれば、病気をくい止められるだけでなく、生活の質もより向上するはずです。今回は周囲ができる白内障への対応について、お伝えします。

白内障はどんな病気?

見えづらい女性

白内障は、目のレンズの役割をしている水晶体が濁る病気です。水晶体の成分であるタンパク質の一種が、加齢や紫外線などによって変化し、白く濁ることでおこります。
厚生労働省の2017年の調査によると、白内障の患者数は65歳以上で88.9%を占めています。主な原因は加齢によるもので、紫外線や放射線、糖尿病、またステロイド剤の使用によってかかる場合もあります。

症状としては、まぶしさ、目のかすみ、視力の低下などが表れます。屋外など急に明るいところに出た時にまぶしさを感じたり、暗いところに入ると見えづらかったり、ぼやけて見えるなどの症状です。また、急に近視になった、眼鏡や老眼が合わなくなった、という場合も白内障であることが考えられます。

白内障の進行はゆるやかなため、老眼や単なる目の疲れだろうと見えづらさを放置していると、気づかない間に進んでいることがあります。また片目が白内障にかかっている場合も、他方は症状がないために気づきづらいことがあります。

治療法、リスクは?

点眼する人

白内障と診断されても、生活に支障がなければ、点眼薬で進行を遅らせることができます。見えづらさによる不快感などから白内障を完全に治すためには、手術を行う必要があります。現代の日本では、医療技術の進歩によってリスクの少ない手術が可能になっており、90歳代でも手術を受けられる方もいます。

手術は、混濁した水晶体を取り除き、人口の水晶体を埋め込むものです。所要時間は10~30分ほどで、日帰りで行うことが可能。他の病気がないかを確認しながら治療計画を立てていきます。

ただ、白内障が進み重症化している場合は、手術が受けられないこともあります。手遅れにならないうちに眼科を受診しましょう。

手術後に注意することは?

手術後は、ほぼ普段どおりの生活ができるようになりますが、一定期間は激しい運動を避けることや、感染症を防ぐため、医師の指示にしたがった生活を送ります。

一度白内障手術を行うと、再発することはありません。ただし、加齢による視力低下や他の目の病気によって、目が見えづらくなる可能性はゼロではありませんので、目の健康を保てるよう、定期的に健診を受けましょう。

 

日ごろ施設で注意することは?

転倒男性

本人が知らず知らずのうちに進んでいることも多い白内障。家族や周りから見て、高齢者にこのような様子が表れているなら、眼科の受診をすすめてみましょう。

・小さな段差につまずきやすい
・足元がはっきりと見えていない、距離感がつかめていないようだ
・屋外や明るいところに出るとまぶしそうにしている
・暗いところで周りが見えづらそう
・新聞や雑誌、テレビなどが見づらそう
・外出や行動量が減った
・急激に視力が落ちた、眼鏡・老眼鏡が合わなくなった
・急に視力が戻り、見えやすくなったようだ

では、白内障の予防には、どのようなことがあるのでしょう?紫外線も水晶体が濁る原因の一つなので、屋外では帽子をかぶることやサングラスを利用することで発症予防になり、また進行を遅らせることにつながります。

糖尿病の方は、白内障だけでなく緑内障などさまざまな合併症を引き起こしやすくなります。食事療法や運動療法を行い、生活習慣をコントロールすることによって、合併症をおきにくくしたり、進行を遅らせることにもつながります。

治療を受けることによって視界がクリアになれば、転倒防止や事故を防げます。活発に行動しやすくなるだけでなくさまざまな興味が湧くことで、生活の質も向上。イキイキと楽しく毎日を送るためにも、誰でもかかる可能性があるからこそ声をかけあって、早期発見、早期治療ができるとよいですね。

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