介護士として働いていると、自己評価シート(個人目標設定シート)を書かなければいけないことがあります。
働いている時は業務をこなすのに一生懸命ですから、常日頃から明確な目標を持っていない限り、記入するのが難しいですよね。
今回は、介護士としての個人目標の設定について困っている方のために、どうすれば具体的な個人目標を持つことができるのか、説明していきます。
まずは、あなたの課題点を明確にしてみよう
個人目標を立てるためには、まず今のあなたの課題点をきちんと明確にしないといけません。
今の自分の課題点を明確にすることで、自ずと個人目標も具体的になっていきます。
例えば、「レクリエーションが得意になりたい」という個人目標は漠然としていて、
- どうしたらレクリエーションが得意になれるのか?
- そもそも、レクリエーションが得意であるというのはどういったことなのか?
ということが、いまいちわかりません。達成ポイントが曖昧な目標は、せっかく立てても達成するためのモチベーションが維持しにくく、あまり意味がありません。
上記のように「レクリエーションが得意になりたい」という個人目標を立てるなら、
- レクリエーションのネタをたくさん持っている人になりたい
- レクリエーションを盛り上げるのが上手な人になりたい
というように、もう少し具体的にする必要があります。
そしてこのくらい具体的な、レクリエーションに対する個人目標を持つためには、今の自分のレクリエーションの課題点から目をそらさずに、向き合う必要があるのです。
介護の仕事における、自分の課題点の見つけ方
今、介護を行っている際に、困ってしまうことや、難しく感じることはありませんか?
そんな時が自分にとっての課題を見つけるチャンスです。困っている原因や、難しく感じる理由をひもといていくと、個人目標の基となる課題点が見えてきます。
例えば、認知症の方のとる行動が理解できずに困ったとしましょう。
この場合、あなたの認知症に関する知識不足が原因となっている可能性があります。それなら、認知症に関して知識を深めることで課題は克服できそうですよね。
しかし、何が原因で自分が困ってしまうのか、なかなかわからないこともあると思います。
そんな時は、うまくその業務をこなせている先輩に、どのようにその技術を習得したのか聞いてみるのも良い方法です。
具体的な個人目標を立てるためのコツ
介護士としての具体的な目標を立てるためには、明確にするべき3つのポイントがあります。
- 1.理想
- 2.行動
- 3.取りたい資格
上記3つのうちどれか、できることなら全部を明確にするだけで、かなり具体的な目標になります。
理想・行動・取りたい資格が明確になってさえいれば、簡潔な箇条書きであってもしっかりと”軸”のある目標と言えます。
個人目標を立てる際に、よく見かけるのが「利用者さんに喜んでもらえるようになりたい」という目標です。これはこれでいい目標なのですが、具体的ではなく、”喜んでもらうために何を頑張ればいいのか?”は分かりません。
これが仮に「レクリエーションで季節感を感じられる『お花見に行こうゲーム』という企画を考え、実行することで利用者さんに喜んでもらいたい」というものであれば、次に何をすれば良いかは明確ですよね。
それでは、具体化するための3つのポイント“理想・行動・取りたい資格”について詳しくみていきましょう。
利用者さんを笑顔にしたいという「理想」がある例
自分の理想とする介護を、個人目標にしたいと考える方もいるでしょう。
例えば「先輩のように利用者さんを笑顔にしたい」と思ったとします。これを具体化するには、先輩がどのような方法で利用者さんを笑顔にしているのかを観察し、それを明確に捉える必要があるのです。
先輩がいつも笑顔で利用者さんに接しており、それが利用者さんの笑顔の元になっているのであれば、「いつも笑顔でコミュニケーションをとり、利用者さんも笑顔にしたい」という目標にすることで、笑顔で接する意識を持つことができます。
介護技術を向上させたいという「行動」目標がある例
理想ではなく、より現実的に「介護技術を向上させたい」と思う人もいるでしょう。でもこのままの目標では、どの部分をどのようにすれば、介護技術を向上できるのかがわかりません。
自分の”苦手”な行動を把握し、例えば「移乗介助が苦手なので、移乗介助に関する講習会に参加し、技術を身につけたい」という目標にすれば、自分が何をすべきか意識しやすくなります。
キャリアアップのために「取りたい資格」がある例
介護士が取っておきたい資格は、たくさんあります。介護職員実務者研修、介護福祉士やケアマネジャー、レクリエーション介護士や福祉用具専門相談員などです。
「あれもこれも取りたい」と漠然と考えるのではなく、自分の最終目標を決めた上で、段階を踏むように資格を取得していきたいですよね。
将来的にケアマネになりたい場合を仮定すると、「実務経験に関係なく受験できる福祉住環境コーディネーターの資格をとり、その後介護福祉士の資格を取り、ケアマネの資格を取る」など、数年単位で具体的な計画を立ててみるといいでしょう。
個人目標の例(介護士としての課題点別に紹介)
では、実際多くの介護士が抱えている悩みや課題を元に、具体的に決めた個別目標の例をいくつかご紹介します。
- 1.介護のキャリアが浅い人に多い課題点
- 2.介護のキャリアが長い人に多い課題点
- 3.キャリアに関係なく多い課題点
介護のキャリアが浅い人に多い「コミュニケーションの取り方」についての目標の立て方
介護のキャリアが浅い人によくある悩み(課題点)は、やはり利用者さんとのコミュニケーションの取り方に関するものです。
例えば、利用者さんを楽しませるコミュニケーションを取ることができるようになるためには、
- コミュニケーション技術向上の研修に参加する
- コミュニケーションに関する書籍を○○冊読んで勉強する
- お手本となる先輩の、○○なところを自分にも取り入れてみたい
というような具体的な個人目標を立てることがいいかと思います。
介護のキャリアが長い人に多い「後輩の育成」についての目標の立て方
介護のキャリアが長い人によくある悩み(課題点)は、利用者さんに対してだけでなく、後輩の育成に関するものも多くなってきます。
例えば、後輩に介護技術について伝えていくためには、
- 介護技術の不十分な部分(例:全身清拭)を伝え、重点的に教える
- 本人が苦手だと感じていることを聞き、苦手克服のための反復練習やコツを教える
- 必要な研修の開催日時を調べ、自分の復習もかねて一緒に受講する
というように、後輩の育成にだけ焦点をあてるのではなく、復習を通して自分の介護技術の見直しもできるような目標であるといいですよね。
キャリアに関係なく多い「資格の取得」についての目標の立て方
最後に、キャリアに関係なく多い悩み(課題点)は、資格取得に関するものではないでしょうか。
例えば、介護福祉士の資格を取得したいのであれば、
- 介護福祉士実務者研修を受講する
- 介護福祉士の受験対策のために、1日3問、過去問に取り組む
- 施設内で介護福祉士試験を受ける人のサークルを作り、情報交換や受験対策の勉強会を開く
など、それぞれの資格の試験対策として行えることを、具体的に挙げられると良いでしょう。
小さなステップアップの積み重ねは、やがて大きく実ります
個人目標を具体化すると、目標が小さくなってしまい、自分の成長につながっているのかどうか疑問に感じることもあるでしょう。
しかし、小さくても具体的な目標は、現実的に取り組みやすい目標でもあり、クリアすることで達成感を得られ、モチベーションアップにつながります。
1つ1つ着実に個人目標を達成していくことで、次の目標を考えることも楽しくなり、コツコツと努力を重ねていければ、最終的な大きな目標にも、たどり着くことができるでしょう。