介護職のストレス原因と、メンタルケアのやさしい方法

介護職の保健室


数ある仕事の中でも、人間同士が関わりあう職種は比較的ストレスがたまりやすいといわれています。

介護業界も例外ではなく、同じ日に連続してストレスが重なると、心が折れそうになることもあるでしょう。

今回の記事では「介護の仕事がつらくなった」という方に知ってもらいたい、ストレスとメンタルケアの話をします。

介護職のストレスの原因

介護職の仕事内容は基本的にはルーチンワークです。勤務する場所にもよりますが、利用者さんへの直接的な介護の繰り返しとなります。

ただし相手が人間である以上、いつも予定通りに利用者さんが動いてくれるとは限りません。体調の急変などで、イレギュラーな対応を行うこともあるでしょう。決められた基本の仕事がある中で、責任が伴うイレギュラーなことがまったく予測できない頻度で起こる場合、緊張からストレスも溜まりがちです。

その他、業務量の多さや人間関係のことで心に重圧がかかってしまうこともあります。以下で詳しく見ていきましょう。

  • 先輩の教え方が統一されていない
  • 急変時その場にいる人間が責められる
  • サービス残業や早目の出勤が常態化されている
  • どのような状況でも、予定に間に合わなければ注意される
  • 合わない介護技術を押しつけられることがある

先輩の教え方が統一されていない

新人として介護現場に入社した際、ある程度の教育係の立場の先輩がいると思いますが、一度現場に入ってしまうと先輩を追いかけるだけで一苦労です。

特に「習うより慣れろ」精神の強い先輩だと、抽象的な言い方をされることが多いです。

そして、別の先輩に教わった時、違う方法を言われることがあります。「〇〇さんにはこう教わりましたが……」と答えても「じゃあ好きな方でやっていいよ」と言われてしまい、「どちらがいいのかな!?」と戸惑うこともあるでしょう。

介護業界に限ったことではないのかも知れませんが、先輩方の教育が統一されていないケースが多いように感じます。

急変時その場にいる人間が責められる


介護現場では、利用者さんの転倒や急変のケースが数多くあります。

厚生労働省がWEB上で発表している「ヒヤリハット事例」のような出来事は、誰が勤務に入っていても起こりうることなのですが、場合によってはその場にいた職員だけに責任があるかのように責める人がいます。

その状況が根付いてしまうと、職員は事故を恐れ、責任逃れをするようになります。本来、ヒヤリハットや事故報告書は、再発防止に務めるためにあるものです。

「私はその場にいなかったから知らない」と主張する職員や、「あなたが第一発見者だから報告書書いてね」と丸投げする職員には、嫌な気持ちを抱いてしまうこともあるのではないでしょうか。

サービス残業や早目の出勤が常態化されている

職場によっては、時間外に記録などの書き物をするように言われたり、出勤時間より30分ほど早く出勤させられたりなど、グレーな独自ルールを設けている場所があります。

あくまでも現場だけのルールとして根付いているケースが多く、管理側は全く知らない場合もあります。

肉体的にも負担がかかり疲れてしまいますし、「なぜこんなに早く出勤しないといけないのかな?」という不満に結びつきます。

どのような状況でも、予定に間に合わなければ注意される


利用者さんの状態により、介護が思うように進まないことがあります。

例えば、利用者さんの機嫌が悪く介護を拒否されてしまう日もあるでしょう。そして手を尽くしても時間通りに誘導できず、「あなたの介護の仕方が悪いのでは?」と一方的に注意を受けてしまった時が辛いです。

こちらの意見が聞き入れられず、一方的な注意を受けてしまうと、多大なストレスが溜まってしまいます。

合わない介護技術を押しつけられることがある

介護職は身長差や力の違いで”その人にとって適した技術”があります。逆に言うと、自分が楽だと思い込んでいる技術でも、他の介護職にとってはやりにくいことがあるわけです。

自分で試行錯誤を繰り返しているのに「このやり方が1番だよ」と押しつけられるのはストレスですし、場合によっては仕事の効率の低下につながります。

介護職員のメンタルケアの内容

上記の事例は、介護現場で働く職員が抱えがちなストレスのほんの一例です。ここで述べた以外にも、様々なストレスを抱えてしまうことがあるでしょう。

そのようなストレスは、一体どうすれば軽減できるのでしょうか。

事業者側が行っているメンタルケア


事業者側も”介護士はストレスが多い”ことを理解していますので、職員のストレス軽減に努めるため、様々なメンタルケアに関する制度を取り入れています。

場所によって内容は異なりますが、多くの事業で取り入れているのが“研修”です。様々な団体がストレスケア、メンタルヘルスケアに関する研修(セミナー)を開催しており、介護の現場で働く人たちをメインの対象にしたセミナーもあるようです。

会社が費用を負担してくれるケースがほとんどなので、積極的に参加してみましょう。

自分自身をいたわるメンタルケア

まず、介護現場には正解がなく、数多くのアドバイスは正解に近づくためのアプローチでしかないことを知っておきましょう。

人の意見をすべて真に受けて落ち込んだり、「間違っているのかな」と自分を追い詰めたりしてしまうのはNGです。素直に人の意見を聞くことももちろん大切なのですが、介護に対する自分の意見ややり方を封じ込めすぎないようにしましょう。


そして、自信がないことが原因で落ち込んでストレスが溜まるなら、常日頃から自分で介護について勉強することが必要です。

1番のおすすめは、色々な資格を取ってみることです。

例えば、自分で介護について様々な知識を蓄えておくことで、違う上司から異なるアドバイスをされても混乱することなく、自分の知識と照らし合わせながら冷静に受け止めることができます。

いざ後輩が入社してきた時にも、自分で的確なアドバイスや言い方ができるようになるでしょう。

人の意見だけでなく、介護に対する自分の気持ちを大切にしよう

介護現場では様々な問題や悩みがあります。新人の頃は、毎日のように「辞めたい」と悩むこともあるのかもしれません。

職場での人間関係の悪化や利用者さんへの対応、そして自分自身のミスなど……色々ありますよね。

もちろん、自分自身が認める失敗なら、反省して次に繋げようと考えるのが正解です。しかし、自分自身の納得のいかない悩みは無理に我慢したり抱え込んだり、前向きに考える必要もないのです。

感情だけで動いてはいけませんが、感情をゼロにして動いてしまってもいけません。

「仕事だから……」と我慢していると、メンタルケアが追い付かず立ち直れなくなってしまったり、周りの職員や利用者に対しても、仕事だからと淡白な気持ちで接してしまったりする可能性があります。

“自分の気持ちをしっかり持ち、我慢はしない”、そんなメンタルケアを常に心がけて、自分にも職員にも、そしてもちろん利用者にも、やさしい気持ちであり続けてほしいのです。

「嫌だなあ、辛いなあ」と思ったことは、自分が上の立場になった時まで覚えておいて、自分と同じような悩みやストレスを抱え込ませない工夫を提案できるようになるといいですね。

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