感染症を防ぐ介護のノウハウ、風邪、ノロ、インフルエンザへの対策

介護職の保健室


寒くなってくると気になる、風邪やインフルエンザ、ノロウイルスなどの感染症。特に高齢者が感染症にかかると重症化しやすく、回復に時間がかかることもあるため、介護者のいる家庭では予防を徹底したいもの。しかし手洗いやうがいを嫌がる高齢者も多く、自分自身をどう感染症から守ればいいのかといった悩みを持つ介護者も多いようです。

今回は毎日の介護のなかで感染症を防ぐコツ、また介護者自身が感染症にかからないコツをご紹介。ポイントをおさえて感染症を徹底予防し、冬を元気に乗り越えていきましょう!

介護生活の脅威となる感染症。その理由は?

免疫力が落ちた高齢者は、感染症にかかりやすくなっています。そのため介護サービスを受けているなどで他の高齢者と接点があると、免疫の弱った高齢者間で感染症が一気に蔓延してしまう恐れがあります。

また、健康な若い人であれば数日で治まるような感染症も、命にかかわる状態にまで悪化してしまうことも起こりがち。さらに、脱水症状や意識障害を起こして転んでしまったりすると、骨折などで要介護度が上がってしまうこともよくあります。そうなると障害が増して高齢者自身も介護する人も、両方の負担がぐっと増えてしまうことに・・・。

たかが風邪、とあなどってはいけません。まずは感染症にかからないこと、もしかかってしまったら周囲にうつさないこと、この二段構えで感染症対策を徹底していきましょう。

高齢者の感染症を防ぐには

(1)手洗い、うがい

感染症対策の基本となるのが、手洗いとうがいです。この2つをしっかりと行なうことは、ほぼすべての感染症予防に役立つと考えられています。

外出から帰宅したとき、人の多いところから少ないところへ移動したとき、食事の前など、タイミングをとらえ、こまめに手洗いうがいを行ないましょう。

手洗いには、ハンドソープを使って水で洗い流す方法と、アルコールなどの消毒薬を使う方法があります。目に見える汚れが付着しているなら水とハンドソープで洗い流しましょう。汚れていない場合も、手指消毒用のハンドジェルなどでこまめに消毒します。

どちらの場合も、掌のしわや指の股、爪の間など細かいところまで少し時間をかけてしっかりと洗浄することを心がけて。

洗い残しの原因にもなる指輪や腕時計は介護ケアを行なうときには外しておくこと、爪は短く切っておくことも重要です。

(2)口腔ケア

毎日の口腔ケアも、感染症予防に効果が期待できます。

実は、口の中の細菌はインフルエンザウイルスが付着しやすくなる酵素を発生させます。つまり、口腔内が不潔だと、インフルエンザにかかりやすいということ。口腔ケアで細菌を減らして清潔を保てば、おおいにインフルエンザ予防に役立つのです。また口の中を清潔に保つことは、高齢者の死因に多い誤嚥性肺炎の予防にもなります。

お口は細菌やウイルスの入り口であり、体内への浸入を防ぐ防波堤の役割も果たす重要な器官。口腔内環境が悪化すれば免疫力のダウンにもつながるため、日頃から歯磨きをしっかりして、お口の中を清潔に保つようにしましょう。

(3)栄養と睡眠を十分に

免疫力が落ちていると感染症にかかりやすくなります。免疫力を高めるには、きちんと栄養をとること、ぐっすり眠って休養をとることが大切です。

食事では、特にタンパク質(肉・魚・卵・牛乳など)やビタミンCをはじめとするビタミン類が不足しないように気をつけましょう。ヒレ肉や卵などは高タンパクで脂も少なく、高齢でも食べやすいでしょう。ビタミン補給には旬の果物などもおすすめです。

また、夜中にひんぱんに目を覚ますなど、睡眠の質が低いことも免疫力を下げる原因のひとつ。睡眠の質を上げるためには、まずは日中の活動量を増やしてみましょう。

太陽の光を浴びて人と話したり、体を動かしたりすることで心地良い疲れが得られ、よく眠れるようになります。また昼寝は体内時計が乱れるため、15時までの間、30分以内にとどめておきましょう。

持病などで薬を飲んでいる場合、その薬の影響で不眠になっていることもあります。気になるようなら処方してくれた医師に相談してみましょう。

(4)予防接種

インフルエンザの予防接種は、接種してもかかってしまうこともありますが、その場合も重症化を防ぐ効果があります。かかったときのさまざまなリスクを考えると、接種には大きなメリットがあります。予防接種が可能かどうか、かかりつけの医師に相談してみましょう。

(5)加湿・換気

空気が乾燥する冬は、のどや鼻、気管支の粘膜も乾きがち。そのような状態では粘膜のバリア機能が落ち、ウイルスが浸入しやすくなっています。また、インフルエンザウイルスは低温と乾燥が大好きなので、そのようなところでは活発に活動します。

部屋のなかは暖房と加湿器を併用するなどして、室温20℃〜23℃程度、50〜60%の湿度を保つようにしましょう。また定期的に換気をすることも重要です。

(6)手袋やエプロン(防護衣)などの着用

介護する人の感染症予防に役立つのが、マスクや使い捨ての手袋、エプロンなどです。

感染源となるものには、血液・痰・膿・嘔吐物・尿・便などがあります。これらに触れるケア、たとえば口腔ケアや排泄介助、排泄物や血液がついた衣類やシーツを取り扱うときなどには、マスクや手袋、エプロンを着用しましょう。またケアを始める前と終えた後には、手洗いや手指の消毒も忘れずに。

まずは自分が健康でいることが、介護の第一歩。面倒くさがらず、習慣にしてしまいましょう。

相手も自分も、注意深く観察を


きちんと感染症対策をしていても、かかってしまうときはかかってしまうのが感染症。そうなったらできる限り早期発見・早期対応をして、重症化を防ぐことが第2のカギとなります。

日頃から様子を注意深く観察し、少しでも変だな、様子がおかしいなと思ったら感染症をうたがってみましょう。そばにいて普段の様子を知っている人にしかできないことです。

また、よく観察しなくてはいけないのは自分自身についても同じ。

朝自分の顔を鏡で見て、「なんだか顔色が悪いな」、「食欲がないな」・・・何か異変に気づいたら、もしかして感染症かもしれません。知らないうちに自分が媒介者となって、周囲に拡散してしまっては大変!疑わしいときはムリをせず、早めに医師の診察を受けることも覚えておいてくださいね。

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